この記事は、
AIと介護を比べて優劣を決めるためのものではありません。
介護に進むべきかどうかの答えを書く記事でもありません。
ここでやりたいのは、
仕事の将来に不安を感じたとき、
その不安がどこから生まれていたのかを整理することです。
私が介護職に就いたのは、今から15年ほど前。
その頃、働き方の中に「AI」という概念はありませんでした。
それでも、
今AI時代に不安を感じている人と、
当時の自分の不安には、
どこか重なる部分があるように感じています。
最後まで読まなくても大丈夫です。
途中で閉じても、何も間違っていません。
仕事は続いているのに、安心できない感覚が残っていた
当時の建設業界では、
AIによって仕事がなくなる、という話は現実的ではありませんでした。
技術は進歩していましたが、
「この仕事自体が消える」という感覚はなかったと思います。
それでも、
働き続けているのに、
なぜか安心できない感覚がありました。
残業が増え、
忙しさが当たり前になり、
それでも仕事は回っていく。
「仕事はある。
でも、このままでいいのか分からない」
そんな違和感が、
言葉にならないまま残っていました。
不安が一気に現実のものになった出来事
その違和感が、
はっきりとした不安に変わった瞬間があります。
残業時間が、
ピーク時には月160時間を超えるようになり、
心と体の両方に不調が出始めた頃でした。
そこに重なったのが、
同じ業種で働いていた人が、
残業150時間を理由に思い悩み、
自宅のトイレで自殺したというニュースです。
その話を知ったとき、
「これは他人事ではない」
そう強く感じました。
仕事が好きかどうかではなく、
この働き方を続けた先に、
自分は無事でいられるのか。
その問いが、
初めて現実のものとして迫ってきました。
介護という仕事が浮かんだとき、前向きにはなれなかった
介護という仕事が頭に浮かんだのは、
強い使命感があったからではありません。
それまで、
建築を学び、建築の仕事を続けてきました。
だからこそ、
異業種に転職することへの不安は大きかった。
今まで積み上げてきたものは無駄にならないか。
まったく違う仕事で、本当にやっていけるのか。
長く続けられる仕事なのか。
前向きな期待よりも、
「大丈夫なのか」という気持ちのほうが
ずっと強かったと思います。
振り返って分かった、不安の中心にあったもの
今になって振り返ると、
当時の不安の中心にあったのは
能力への不安と、
自分の立ち位置が揺らぐ感覚でした。
仕事がなくなることよりも、
「今まで通用していた自分のやり方が、
この先も通用するのか分からない」
その感覚のほうが、
ずっと怖かった。
これは、
今AIの話題をきっかけに不安を感じている人にも、
どこか重なる部分があるかもしれません。
AIそのものが怖いというより、
自分はこれから、どこで価値を出せばいいのか
その輪郭がぼやけることへの不安。
それが、
当時の不安の正体だったように思います。
「なくならない仕事」という言葉に違和感が残った理由
介護について調べると、
「介護はなくならない仕事」という言葉を
よく目にします。
でも当時の私は、
その言葉だけでは安心できませんでした。
なくならないことと、
自分が納得して続けられることは同じではない。
必要とされることと、
自分が価値を感じられることも、別だと思ったからです。
だから簡単に決められなかった。
それは、優柔不断だったからではなく、
ちゃんと考えようとしていたからだと思います。
「選ばれ続けている」という見方に変わった理由
今、ひとつの見方として感じているのは、
介護の仕事は
「なくならないから残っている」のではなく、
人が人に直接会って価値を提供する仕事として、
選ばれ続けてきたということです。
利用者一人ひとりと向き合い、
その人の生活や時間に関わる。
効率や正解だけでは測れない部分があり、
そこに意味を感じる人が、
時代が変わっても一定数いる。
AIという言葉が出てくる前から、
そうした価値は存在していました。
今AI時代と言われる中で、
その価値が改めて意識されているだけなのかもしれません。
この見方が、
すべての人に当てはまるとは思っていません。
ただ、不安を整理するための
ひとつの視点として置いています。
当時の自分は、決める前の地点にいた
当時の私は、
介護に進むと決めていたわけではありません。
「選択肢を探していた」
それが一番近い表現だと思います。
介護に興味はあった。
でも、本当に長く続けられるのかは分からなかった。
今振り返ると、
その不安が少しずつ変わっていったのは、
学び直しながら、働き続けてきたからだと思います。
だからこそ、
介護に興味を持ち始めたばかりの段階で
不安や心配を感じるのは、異常なことではありません。
多くの人が、
同じ場所で立ち止まります。
急がなくていい、という選択肢もある
もし当時の自分に声をかけるなら、
「急がなくていい」と伝えたいです。
何を学べばいいのか。
どんなスキルが必要なのか。
当時は分からないことだらけでした。
それでも、
その時その瞬間に関わった利用者や同僚との経験が、
少しずつ積み上がっていきました。
焦らなくても、
積み上げることで見えてくるものもある。
今はそう思っています。
それでも、答えが出ていない感覚は残っている
今でも、
「自分の介護で、利用者は幸せになれているのか」
という問いは、心の中にあります。
完璧な人間ではないし、
学んだことがいつでも発揮できるわけでもありません。
だからこの仕事について、
完全に答えが出たとは思っていません。
その揺れを抱えたまま、
今も続けています。
近い不安を扱っている記事
同じように、
決めきれない状態で立ち止まっている人が多い記事です。
👉介護に進むか決められないあなたへ|自分を責めてしまう不安の正体
まだ経験していないからこその怖さを、
別の角度から整理した記事です。
👉介護の仕事のリアルが怖くて踏み出せないあなたへ|未経験だからこそ膨らむ不安の正体
今の立ち位置を、
もう一度整理したいときは、こちらもあります。
👉未経験・異業種から介護を考え始めた人へ|迷っている今の立ち位置を整理する
不安が残っていても、いまはここで大丈夫
ここまで読んで、
「それでも決めきれない」と感じているなら、
それは自然な反応だと思います。
いまのあなたは、
答えを出せていないのではなく、
まだ判断するための材料を集めている途中なのかもしれません。
不安が残っているのは、
考えが浅いからでも、覚悟が足りないからでもありません。
むしろ、
自分の人生や働き方を軽く扱っていない証拠だと思います。
いまは、
何かを選ぶ場所ではなく、
自分がどこで立ち止まっているのかを
確かめている段階です。
ここまで読んで、
すぐに答えが出なくても大丈夫です。
決められないまま、今日は閉じても問題ありません。
もし、
「もう少し整理したい」
「今の位置をもう一度見渡したい」
と感じたら、ここに戻ってきてください。

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